2011年7月21日木曜日

タコイカウイルス(イカタコウイルス)

2010年に発覚したウイルス(TROJ_TACO)。イカタコウイルスともいう。動画ファ
イルを装ったスクリーンセーバー式のファイル。このウイルスの入ったファイル
をダウンロードし、実行してしまうと、パソコン内にある各種データの多くをタコ
やイカといった魚介類のイラストが描かれた画像に切り替わった上で、そのデータ
はおろかパソコン自体を使えなくしてしまう(修復が非常に困難)というものであ
る。原田ウイルスシリーズの製作で執行猶予付き有罪を受けた容疑者はその執行
猶予の期間中に犯行を行った 。

2011年7月20日「タコイカウイルス」作者に実刑判決

2010年8月に「タコイカウイルス」を作成したとして逮捕・起訴された作者に対し、
2011年7月20日、東京地裁は懲役2年6ヶ月の実刑判決を下しました。
2009年に「Winny」や「Share」などのファイル共有ソフト利用者の間で話題になっ
た通称「タコイカウイルス(イカタコウイルス)」。その動きは以下のとおりです。

アニメなどの動画に偽装したファイル名、アイコンのファイルをユーザがファイル
共有ソフト経由でダウンロードファイルを実行するとタコやイカのアニメ動画が流
れる(図1参照)

背後でPC内のファイルをすべてタコやイカの画像に置き換える(図2参照)
PCの起動に必要なファイルまでも削除してしまうためPCが利用不能になる

感染させてユーザを困らせるという愉快犯型不正プログラムの典型例ですが、
2010年8月にこの「タコイカウイルス」を作成し、ユーザのパソコンを使用不
能にしたとして器物損壊の容疑で作者が捕されました。

■器物損壊容疑による逮捕の背景
本日7月20日の判決はその逮捕容疑に関する第一審の判決だったわけですが、
そもそもどうして容疑者は「器物損壊容疑」で逮捕されたのでしょうか?

日本では不正プログラムの所持や作成を取り締まる法整備がなされていませ
んでした。そのため、不正プログラムの作者が明らかになったとしても立件
するためには具体的な損害や犯罪の故意性といったものの立証が必要だった
のです。

2008年に、これまたファイル共有ソフト経由で感染する通称「原田ウイルス」
を作成したとして関西の大学院生(当時)が逮捕されましたが、このときにも
実在するアニメの画像を勝手に利用した著作権法違反と実在の知人の写真など
を勝手に利用した名誉毀損によって逮捕・起訴され、執行猶予付きの有罪判決
が下っています。

そして実は「タコイカウイルス」作者はこのときに執行猶予付きの判決を受け
た人と同一人物だったのですが、前回の罪状が著作権法違反などであったため、
今回は同じ罪に問われないようにタコやイカなどの画像(図3参照)を本人が
作成したと供述しています。

■2011年7月14日、「ウイルス作成罪」施行
今回の裁判では器物損壊罪に該当するかどうかが争点となりましたが、2011年
6月に衆院本会議で可決・成立した通称「サイバー刑法」によって、7月14日よ
りすでに「ウイルス作成罪」の適用が開始できる状態になっています。適用の
対象や犯罪の故意性などについては様々な議論がありますが、安全なインター
ネット利用に向けた環境整備のためには重要な一歩と言えるでしょう。

参考資料
原田ウイルス
タコイカウイルス(イカタコウイルス)~総合解説~
「タコイカウイルス」作者に実刑判決

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