2011年8月23日火曜日

雷: ステップドリーダ(Stepped Leader)とは

稲妻が光る直前、細く弱い電気があみだくじのように枝分かれしながら地上に
向かって伸びることが分かっている。

そのうちの1つが地面とつながったところに一気に大量の電気が流れる。この時
初めて目に見える雷となる。

しかしこの光はあまりに早く弱いため、その全体像が映像に記録されたことはな
い。

もしこの全貌を捉えることができれば、雷の落ちる位置を特定する手がかりにな
る。

あみだくじのように進むこの見えない雷は、ステップドリーダ(Stepped Leader)
と言われている。


いつどこに落ちるのかが分からない、それが雷の大きな脅威。

雷の被害は日本でも深刻、2003年雷は国会議事堂を直撃した。中央棟を破壊、
外壁が崩れた。修理費用は4800万円もかかった。

この時国会議事堂の周辺では、わずか20分でおよそ100回も雷が落ちた。落雷
の被害の多くは家屋の火災や機械の故障による工場の停止。被害額は日本全土
で年間1000億を超えるとも言われている。

日本もまた、雷多発地帯なのだ。

世界でもトップレベル、雷研究の第一人者がダーウィンにやってきた。大阪大
学大気電気学・河崎善一郎教授、雷オヤジの異名をとり、雷の謎を解明したい
という情熱は誰にも負けない。

12年前から、町から100km離れた農場を訪れ、研究の本拠地としている。見晴ら
しがよく雷の観測に絶好の場所。

32歳で研究を始めた河崎教授は雷を追い求めてアメリカ、中国など11か国の雷
地帯を巡る。1年の4分の1は調査に出かける日々を送ってきた。

そして46歳の時雷の規模や回数が他を圧倒していたダーウィンの地に研究の基
盤を置くことにした。

ダーウィンでの研究の結果、開発したのが持ち運びのできる高性能のアンテナ。

このアンテナにより雷の発生した位置を特定することができる。仕組み・・・
まず雷が発生する電波をアンテナが捉える。すぐにそれを解析し巨大な雲の中の
どこで雷が発生しているかを特定できる。

これにより半径30km以内の雷の発生位置が、ほぼリアルタイムで分かるようにな
った。

アンテナは日本ですでに実用化されている。

奈良、平城宮跡、甲子園球場300個分にもなる広大な土地にアンテナが設置さ
れている。2010年6月平城宮跡の周囲10km以内に発生した雷をアンテナが捉え
た。発生から10分後、警報が発令され、多くの人達が避難した。

参考資料
見えない雷を追え~驚異の自然現象

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